さいたまトリエンナーレ2016
先日さいたまトリエンナーレに行ってきた。
さいたまビジネスマン アイガルス・ビクシェ
はじめに、ホームページをみていて1番気になったこの作品を目指して西南さくら公園を訪れた。
公園には作品を見ている人だけでなく、遊んでいる親子や散歩やジョギングの途中で立ち寄った人たちなど色々な人がいた。
毎日合計約50万の人が行き来しているという生活都市・さいたま。全長9.5mのビジネスマンはユーモアとともに現代社会の姿を映し出す。
公園の周りは住宅街で、所狭しと建物がありどこか息苦しさを感じるがこの涅槃仏を模したビジネスマンの像をみているとなんとなく穏やかな感じがして良かった。
このすぐ近くにある花と緑の散歩道には2つの作品があった。
STATION TO STATION ダニエル・グェティン
武蔵浦和駅近くの高架下。
鮮やかな色彩が浮かび上がっている。
遊歩道にも木で作られたアーチが設置されていた。
トリエンナーレカラーをベースにした、2色のカラフルなフィルムによるラッピングやペイントによる作品を設置。祝祭的な環境をつくることで、日常の風景をアーティスティックな空間へ変ぼうさせる。
時間の道 ウィスット・ポンニミット
道の両端に可愛らしい絵柄の看板が並んでいた。
女の子と犬の絵に勇気付けられるような言葉が添えられている。
「タムくん」の愛称で知られるタイの漫画家による作品。花と緑の散歩道の道路標識に、漫画から飛び出した「マムアンちゃん」(タイ語でマンゴーの意味)というキャラクターが登場。未来の発見に誘うウィットのある「一言シリーズ」を展開する。
次は散歩道の中程から坂を上って行ったところにあった「旧部長公舎」へ。
4つの家があり、それぞれ違った作品が展示されていた。
アンタイトルド・ドローイング・プロジェクト 鈴木桃子
「BECOMING」というテーマのもと、鉛筆によるドローイングで構成されたインスタレーション作品。真白な壁から始まったドローイングはやがて壮大な宇宙の生命のサイクルとなり、最後に何もない空間「形のない宇宙」に帰っていく。
この日は部屋の入り口からしか見ることができなかったが、観客が参加することもあるそう。
土地の記憶を辿って 髙田安規子・政子
縄文期には海に面していたとされる、かつて使われていた住宅が会場となる。長い年月を連想させる自然の様相をモチーフにした装飾により家そのものを再生させる。
はじめのことば 野口里佳
建物の中には写真や映像作品が展示されていた。
さいたま市見沼区で生まれた野口にとって、故郷は「世界の中心」のような場所だった。世界各地で自分にしか見えないものを撮り続けてきたまなざしでさいたまを見つめ直し、写真作品および映像作品を展示。
家と出来事 1971-2006年の会話 松田正隆+遠藤幹大+三上亮
現在は使われていない空家住宅を舞台に、想像と現実の風景を重ね合わせたインスタレーションを展開。かつてそこにあった出来事と、家という場の記憶を浮かび上がらせる。演劇、映画、美術、といった異なるジャンルの作家による共同制作作品。
すぐに誰かが帰ってきそうな、でももう誰も帰ってこないかのような、不思議な空間だった。
ベランダにもでることができた。
柵にイヤホンを刺すところが何箇所かあり、それぞれ違う時期にここに住んでいた人の声が聞こえてくる。
ベランダから街を見渡すとイヤホンの中で語る人たちになったような気分になった。
戯曲はホームページで読むことが出来る。
夕日。
種は船プロジェクトinさいたま 日比野克彦
最後に別所沼に行った。
ついた頃にはもう暗く、周りもよく見えなかったが沼の上に何かが浮かんでいるのが見えた。
日比野氏が2003年から行っている
「明後日朝顔プロジェクト」で育てられた全国を旅する“朝顔の種”が、
まさに「人やモノ、地域をつなぐ“船”のようだ」という着想から、「種は船」プロジェクトが誕生しました。
2010年に舞鶴からプロジェクトの起点である新潟まで航海をすることを目標に造船を行い、
延べ5,000人以上の市民が関わり、TANeFUNeを造船、そして2012年には日本海沿岸を航海しました。
その活動は、今なお継続しており、16年後の舞鶴への帰郷を目指して、
これからもTANeFUNeの航海は続きます。
別所沼のほとりに小屋があったがもう閉まっていた。
ここはヒヤシンスハウスというらしい。
地域の文化活動の新たな拠点として2004年に建設され、詩人・立原道造や浦和に関する展示、文芸・美術・建築などに関する催し物を行っているそう。
ヒアシンスハウス Haus-hyazinth official site
そんな感じでこの日は終了。
会期が12/11までなのでまた少しずつまわろうと思っているうちに終わりが近づいて来ているのであと何箇所か行けたらいいなー。
首都圏で行われる芸術祭をみるのは初めてだったので、どんな風に街の中に作品が設置されているのか楽しみだった。
地方で行われる芸術祭と違ったアプローチで、日常生活や社会というようなものに寄り添った作品が多いような印象だった。
また地元企業や市民のプロジェクトもあるそう。
第1回目ということだけど、規模も大きく見応えのある芸術祭だ。
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